実家が遠方であっても、出産を機に連休に帰省する頻度は増えるものです。
年に1~2回程しか会わない祖父母へ、子どもの発達について話した方がよいのか悩む方もいるのではないでしょうか。子どもの発達についてのカミングアウトは、祖父母の反応などを考えるとどこまで話すべきか迷うこともあるでしょう。
私は発達の遅れについて
祖父母へ必ずしも話す必要はないと思っています。
その理由や、言葉を濁すキーワードについて解説します。
「話す」か「話さない」かの選択
少し遠くに住んでいれば、祖父母と顔を合わせる機会は限られてきます。子どもが保育園などに通園している場合ならなおさらです。
祖父母自身も幼児と関わるのは久しぶりなことが多く、育児の記憶も曖昧です。ふと「そろそろしゃべりだすころ?」「おむつは外れた?」などと気軽に話されることがあります。
しかし、発達がゆっくりなことに悩んでいるときは、悪気がないとは分かっていても刺さることがあります。自分の実親であれば反発してしまうこともあるでしょう。
子どもの発達障害をカミングアウトするかどうかはとても大きな決断です。発達ゆっくりな子どもを育てる多くの親が直面するこの問題には、さまざまな要因が絡み合っています。
1. 祖父母世代の理解のなさ
60〜70代の祖父母世代は、発達障害についての理解が不足している場合があります。祖父母が育った時代には、発達障害という概念自体があまり認知されておらず、誤解や偏見も多くありました。そのため、カミングアウトしたとしても、適切な理解やサポートを得るのは難しいかもしれません。
たとえば、「単にわがままなだけでは?」や「しつけが足りないのでは?」というような反応が返ってくることもあります。祖父母としてはアドバイスのつもりでいった言葉であっても、親としては辛くなることもあるでしょう。勇気を出して話したのに理解を得られなかった場合、その後の関係がぎくしゃくしてしまうことも考えられます。
子どもの発達に向き合っている親としては、
アドバイスに傷ついたり反発したくなったりすることもあります。
2. 話すことの辛さ
子どもの発達障害について話すこと自体が親にとって大きなストレスとなることがあります。発達障害について話すことで、過去の辛い経験や将来への不安が再び浮かび上がることも少なくありません。また、家族の中でも発達障害に対する理解度は様々で、それぞれの反応に対して備えておく必要があります。
特に、帰省という特別な時間を過ごす中で、わざわざ話題に出しその場の雰囲気が重くなってしまうことは避けたいところです。楽しい時間を過ごしたいという気持ちが強い場合、無理して話す必要はありません。
私は受容がなかなかできず、話してしまったら
子どもが「障害児」であることを認めたようで口に出すことが難しかったです。
落ち着いて冷静に話せる自信もなく、詳しいことは話せていません。
3. 偏見を持ってほしくない
カミングアウトすることで、祖父母が偏見を持ってしまう可能性も考えておきましょう。発達障害について正しい知識がないと、「普通の子どもと違う」「特別扱いしなければならない」といった誤解が生じることがあります。他の孫と比べ扱いに差が出たり、過度な甘やかしやしつけに繋がる場合もあるかもしれません。
親としては子どもが特別視されることなく、ありのままの姿を愛してほしいものです。カミングアウトすることで。祖父母の子どもを見る目が変わってしまうことは避けたいです。
4. 子どものプライバシー
発達障害に関する情報は、子ども自身のプライバシーに関わる重要なことです。今はまだ理解できず、意思表示することが難しくても、将来的に子どもが障がいをオープンにするかどうかは本人が決めることです。
子ども自身の権利を尊重することも大切なことです。親が一方的に話すことで、数年後に子どもが嫌な思いをすることも考えられます。
祖父母世代は発達障害への知識が少なくな「何か力になりたい」と思う方もいるでしょう。不安が強まり、親戚や周りに「相談」という形で話してしまうこともあるかもしれません。オープンにしたくない場合にはそのことも併せて伝えておきましょう。
「ゆっくり」という言葉で濁す
帰省時に祖父母へのカミングアウトで迷ったら、無理して話す必要はありません。私は「ゆっくり」という言葉を使って濁すことが多いです。
例えば、「うちの子はちょっと発達がゆっくりなんだよね」という表現を使うことで、発達障害について詳しく話さずに済むことができます。この言葉は、発達障害を暗示しつつも、具体的な話題に踏み込むことを避けるためのクッションとして役立ちます。
曖昧に表現することで、祖父母に対して子どもの成長のペースが一般的なものとは異なることを伝えることができます。そして、具体的な説明が必要な場合には、準備が整った時に詳しく話すことができます。
祖父母が孫の発達を心配する気持ちは十分理解できます。
それでも、親の心が追い付かないなら、無理に話す必要はないです。
まとめ
子どもの発達障害をカミングアウトするかどうかは、幼少期であれば親の判断にゆだねられる部分もあります。祖父母のサポートが必要であれば、特性も含まて話しておく必要があります。特性を理解してもらえなければ、子どもに危険が及ぶ可能性があるからです。
しかし、合う頻度の少ない祖父母であれば、無理して話す必要はありません。
- 祖父母世代の理解の困難さ
- 話すことの辛さ
- 偏見を持たれたくないという気持ち
- 子どものプライバシー
さまざまな要因を考慮して、自分が話せる時に話すというスタンスを取るのが良いでしょう。「ゆっくり」という言葉を使って濁すことで、具体的な話を避けつつ、子どもと向き合いながら少しずつ理解を深めてもらえるのが理想です。
帰省を楽しいひと時にするためにも、親へのカミングアウトについては事前に夫婦間でも話し合っておくと安心です。
話せる状態じゃなかったり、
祖父母から突っ込まれたくない場合には帰省を見送るのも1つ。
「少し話しておこうかな」と思えたらその時に話したらいい。
祖父母だから話さなければいけないなんてことはありません。