わが子と友人の子どもを一緒に遊ばせるのに憧れを抱いた方も多いのではないでしょうか。しかし、発達への不安や困りごとが生じてくる2歳以降になると、友達の子どもとの成長の差に悩んだり、距離を取りたくなることがあるかもしれません。
一緒に遊ばせるのであれば、発達がゆっくりなことをカミングアウトしておいたほうがよいのでしょうか。カミングアウトするメリット・デメリット、私が友人にカミングアウトした体験談を交えて紹介していきます。
友人の子どもと比べて落ち込むこともしばしば・・・
うまい付き合い方について考えてみました。
カミングアウトのメリット
カミングアウトしておいた方が安心。
子ども同士を一緒に遊ばせたい!
1. 理解と支援を得られる
カミングアウトすることで、友人の理解と支援を得ることができます。例えば、友人と遊んでいて子どもが癇癪を起したり切り替えがうまくできなかった場合でも、「落ち着かないから今日は帰るね。」「○○が嫌だったったみたいで・・・迷惑かけてごめんね」など事情を話して対応することができます。もちろん迷惑はかけられないので、潔く帰宅することも大切です。
同世代の子どもを育てている友達であれば、発達障害について多少の知識がある方もいらっしゃいます。全く知識がない・情報がない場合よりも寛容な雰囲気になります。
2. 情報共有と連携
子どもに同じような悩みを持っている友人であれば、親同士で情報を共有することができます。新しいアイデアや効果的な対処法を学ぶことができるかもしれません。地域が同じであれば、病院や福祉とのつながりや仕組みについてより詳しい情報を得ることができます。
これは相手の子も発達に不安がる場合には有効です。定型児ママのアドバイスはためになることも多いですが、時として「それは試したけどダメだった・・・」「全く効果がない」と落ち込むこともあるでしょう。対処方法の効果は人それぞれであるため、過度に落ち込まないように注意しましょう。
3. 子どもへのポジティブな影響
親がオープンにカミングアウトする姿勢を見せることで、子ども自信が自分の発達障害を受け入れやすくなります。「発達障害は隠すもの」「恥ずかしいもの」という意識を持つことなく、ありのままの自分自身を受け入れることができるでしょう。そうすることで、自尊心を高め、自己肯定感を育むことが期待できます。
4. 緊急時の対応がスムーズ
発達障害に関する情報を共有しておくことで、緊急時に周囲が適切な対応をとることができるようになります。
3歳を過ぎれば入園し親と離れて過ごす時間が増えます。しかし不注意な特性がある子であればそんな隙に危険な行動をとってしまう場合もあります。遊んでいる途中でこだわりが出てしまっても、一言断ってクールダウンさせることもできます。
発達についてカミングアウトしておけば、危険なシーンであれば親に声をかけて教えてくれたり、止めてくれることもあるかもしれません。
カミングアウトのデメリット
自分の子が障害児ってみられるの嫌だな。
ありのままの子どもを見てほしい。
1. 子どものプライバシー
カミングアウトすることで、子どものプライバシーが侵害される可能性があります。障がいは子どものプライバシーに関わる情報であり、オープンにするかどうかは本人の意思が大切です。もちろん幼少期に判断することは難しいですが、子どもが大きくなったときに「どうして他の人が発達障害のことを知っているの?」とならないためにも、必要以上の情報を話す必要はないかもしれません。
2. 偏見や差別
発達障害に対する偏見や差別を受けるリスクがあります。障がいについての知識や考え方は人それぞれ違います。これまで親同士が仲良く同じ価値観を持っていると思っていても、発達に関しても同じ価値観であるとは限りません。
もしママ友の子どもが、発達障害のある子どもとトラブルになった経験があれば、子どもを守るために距離を置きたいと考えるのも自然なことです。
偏見や差別を表に出す方は少ないですが、カミングアウトする側は、相手にもネガティブな感情があって当然であることは頭に入れておきましょう。
3. 他害の可能性への懸念
発達障害のある子どもが他の子どもに危害を加える可能性を心配する親もいます。この場合は、カミングアウトすることで壁を作られる可能性があります。
わが子が第一であることは誰でも当然のことなので、相手の反応を見て関わりの仕方を考える必要があります。
4. 比較対象になりやすい
他の子どもたちと比較されることにより、親自身が精神的に落ち込むことがあります。子育て世代であれば、発達段階に関してはある程度の知識をもっています。「この子はまだしゃべらないのか」「この特性は自閉症っぽいよな」といった目で子どもを見ている場合もあるかもしれません。
たいていの人はそれを口に出すことはありませんが、中には直接言ってきたり、態度に出す方もいるかもしれません。そういった相手から親自信が嫌な気持ちになったり傷つく可能性もあります。
友人の親からみて、「あの子はまだできていないから大丈夫」とわが子を比較対象にされ、なんともいえない悲しい気持ちを感じる可能性はあります。
私の体験談①
お互いの自宅を行き来している友人にカミングアウトした経験があります。
1~2歳の頃はよく遊んでいたので、なかなかしゃべらないことや、理解が追い付かないことに違和感を感じていたと思います。そのため、入園先を決めたことをきっかけに「ゆっくり」であることをカミングアウトしました。
友人も子育て中で、わが子の発達についてはある程度予想ができていたと思うので、あまり深くは突っ込まれず、「そうなんだね。楽しく通えるのが一番だね」と言ってくれました。
カミングアウトの後も変わらず誘ってくれ、わが子にもこれまで通り接してくれています。よく遊ぶ友人なので、話しておいてよかったと思っています。
私の体験談②
学生時代の友人と久々に連絡をとり話の流れでカミングアウトしました。
学生時代よく遊んでいましたが、結婚後は住んでいる場所が離れてしまいなかなか会えていない友人にカミングアウトしたことがあります。仕事の話の流れで、「保育園?幼稚園?」と聞かれたので(当時在宅ワークを始めたばかり)正直に「発達がゆっくりだから療育園なんだ」と話しました。
友人は「そうなんだ!知らなかった!」といってその話はそこで終了しました。(メッセージでのやりとり)少しそらされた印象もありました・・・久々の友人にいきなりカミングアウトされたら、相手も反応困るよな・・・とこれは反省しました。
カミングアウトは相手と状況に合わせて慎重に
カミングアウトにはメリットとデメリットが存在します。理解と支援を得ることで、子どもにとっても親にとってもプラスの影響が期待できる一方で、プライバシーの問題や偏見に直面するリスクも伴います。
私の実体験でも話してよかったパターンもあれば、やめておけばよかったというパターンもあります。直接子どもと会う機会が多かったり、話しておいた方が安心できる状況以外は、濁しておいた方がよかったかなと思っています。
カミングアウトを決断する際には、相手との関係性や、会う頻度などを考えて慎重に考慮するのがよさそうです。そして、子どものためにも信頼できる方にだけ話すようにしましょう。